マーケティングが「デスクワークだ」と勘違いされている方が多いので、釘を刺しておきますが、決してそうではなく、事業推進していくうえで、いわゆる営業部と商品部の真ん中にある一番タフな仕事です。「営業部と商品部の考えを忖度して、空気を読みながら、間を取りもつから大変なんだ」などといったふざけた理由からではありません。

組織の機能不全の中でも最たるものが、この「マーケティング=デスクワーク」論です。多くの日本流の経営本の登場人物は、なぜか、営業部と商品部ですし、組織図をみても真ん中にマーケティング部があることは、ごく稀です。
上の図は、マーケティングの業務領域(機能)をあらわしていますが、この五角形の機能が、営業部に含まれていたり、商品部に入っていて、マーケティングを独立した機能として組織している企業が大変すくないです。結果的に、責任範囲(境界)があいまいで、営業部と商品部で仕事を押し付け合っている、といった状態が散見されます。
また、「インターネットが得意だから」とか「パソコンが得意だから」といった安直な理由からマーケティングへ配属されるといったことも目にしますが、絶対にやってはいけないことの一つです。機能をみれば明らかですが、事業戦略の根幹を担うような、事業の存亡を握っている重要な仕事ばかりで、事業のこと、商いのことがよくわかっている、プロダクト部門やセールス部門の「エース級」でなくては、成し遂げられない仕事しかありません。
1. 市場測定
これは市場戦略に基づいて、狙った通りに、プロダクト機能がユーザーに認めれれているのか?セールス成果が上がっているか?を数値化して、市場内ポジションと獲得シェアを測定するための機能です。
2. 商品企画
別項でも述べていますが、マーケティング戦略を考えるうえでの最初の一歩が商品企画です。狙ったターゲットに向けて商品を「創生」したり、「再生」させたりする機能です。(詳しくは別項ご参照ください)
3. 販売テストと商品化
商品企画がおわってテストもしない段階で、いきなりセールス部門へ「売りにいけー」と号令を出していることもよく目にしますが、そんな品質も売り方も安定しない状態で、セールスマンを動かしては混乱を生み、事業の信用問題になります。「商品化」とは、販売テストが完了し、「売り方」が定まった状態のことを指します。
※ちなみに、テスト段階の商品はどこまでいっても「試作品」でしかなく、商品化が済んではじめて、量産が可能な「商品」として製造ができることになります。
4. コンテンツと販促ツールの製造
ユーザーへ伝わりやすいように、ユーザーが買いやすいように、販売テストを踏まえて、商品のノウハウをまとめたものが「商品コンテンツ」です。このコンテンツを使って、セールス部門ではコーチングをすることになりますので、セールス成果に直結する重要な役割を負っています。(上手に制作するのは、その専門の方にお任せすればよいです。大事なのは、そのノウハウを定義することにあります)
また、ターゲットユーザーやセールス手法によりますが、その商品コンテンツをどういったルートで必要な方へ届けるか?を握るのが、「販促ツール」です。アナログなパンフレットやお手紙などのツールが効果的な場合もありますし、ウェブサイトやメール、アプリなどのITツールを使ったほうが効果的な場合もあるので、必要に応じて使い分けをすべきです。
5. PR(≠Promotion)
このPR、よんで字のごとくPublic Relationsですので、ツール(道具)のことを指すのではなく、「顧客や取引先含めた、外部の方々とどういう関係を築きたいのか?」の定義が大事です。この定義なしに、いきなり、広報や広告を行うことも散見しますが、狙った効果を上げられずに、工数とお金を無駄にしてしまうので、入念な定義づけが必要です。
もちろん、セールス部門は、お客様との関係における最前線でありますので、広報、広告している内容とセールスマンが表現している内容にギャップがあっては、元も子もありません。