「人財管理」とは人に投資して、事業戦略に向けて価値を増やす「戦略的概念」であり、「人材管理」とは人員の管理業務を効率化して行うための「戦術的概念」でして、どちらか一方ではなく、どちらも必要な概念です。

仕事の領域でみると、ざっくり以下のように区別ができます。
人財マネジメント(HCM)
未来のこと。つまり、採用や教育、福利厚生や全体としての組織風土(企業文化)などの投資分野。英語でいうと、Human Capital Management(HCM)。
人材マネジメント(HRM)
過去のこと。つまり、勤怠や社会保険などの労務管理分野。英語でいうと、Human Resource Management(HRM)。
人事労務部や人財本部といった組織名や、リクルーティング・サイトの内容からでは、この違いは見えません。上の図にも書いておりますが、目的とするものが異なる以上は、そのマネジメント手法が異なっているのは当たり前なのですが、名前はさておき、実態として「人材」管理しかしていないというケースが多く見受けられます。
このマネジメント(管理)。事業の一部として行っている以上、「数値化(測定)」はつきものです。多くの企業では、勤怠や雇用契約などの労務実績を数値化することはあっても、採用からの一連のライフサイクルを「投資」の視点、つまり、中長期のコストとリターンの関係で数値化しているケースは少ないのではないのでしょうか。
一方、商品という財をみると、原材料調達、加工生産、ロジスティクス、メンテナンスなど一連のライフサイクルをカバーするプロセスは、洗練されて固まっています。キャッシュフローについでも同様ですが、古くから「ヒト、モノ、カネ」といわれている割には、「ヒト」についての「価値を増やしていく」というプロセスが欠如しているのが現状だと考えます。
セールス部門は売上という数字がつきものですが、事業の一翼を担っている以上、すべての機能において、その投資した後の価値(付加価値)が数値として測定されるべきで、HCMは、その数値化をベースにしており、採用、教育、メンテナンスとしての福利厚生、全体観としての組織風土(企業文化)を可視化してマネジメントしていくことを推進するものです。